さて……
しみったれた話しはなし。と云う事で、今回は私が一番好きなPCゲームの話しでもしようか。
私が一番好きなゲームは何か? 定番通りKanon?Air?Clannad?それともToHeartやうたわれるもの? 新時代のFate-Stay night-? Ever17? ちょっと所変わってCloss†Channel? 少し前にレビューしたセイレムの魔女たち? それとも前作の奴隷市場?
どれでもない。私が一番好きなゲームはNitro+ブランド"Hello,world."だ。
知っている人もそう多くはないだろう。それなりにくわしいものならNitro+を知っているから、もしかしたらこのゲームも知っているかもしれない。
時代は現代よりもちょっと先の近未来。HIKARIによって作られたロボット、友永和樹が主人公で、彼が与えられた使命は人間を知ること。そこから始まるADV。
あらすじはこんな所だろうか。このシナリオ。私にとって最高のものだった。なにがいい? そんな特徴を現すものじゃない。私に言わせてもらえれば、全てが面白く、最高だったという。小さいところから大きいところまで、全てを丁寧に作っており、尚且つ大胆な発想も組み込まれている。主人公自体、理系みたいに論理と理論を重視し、そしてロボットらしくカテゴリやクラスタなどの処理で行動していたりする。ともかく、そんな複雑に汲み上げられたシナリオ。長い事でも有名である。何しろワンプレイ20時間ほど。Kanonのコンプリートもそれぐらいで出来てしまうし、ここまで長いのはそうない。そんなボリュームもよかった。私にとって、それは理想郷だったのだ。自分で作り上げていない、他人の手で作られた。アニメの人なら新世紀エヴァンゲリオンを見たと同じ感想だろうか? 私はあれを見た事はないが、多分おおよそ合っていると思う。そこに全てが構築され、また新たなものがあったのだ。ある意味、そこで私の未来は閉じた。何しろ、自分が追い求めていた者が全てあったのだから。
"Hello,world."は君にとってなに? と言われたら私は私の求めた全て。理想郷のアヴァロンだと答えるだろう。確かにそこに在ったのだ。私が、私が好きだった、私の嫌いだった、私が望んだ世界が。
だからこそどんな感動ゲームと言われるどれも "Hello,world."には敵わない。どんなに良い話だと思っても、絶対にこれが一位から転落する事はないだろう。どんなに綺麗な文章でも、どんな豪胆な熱さでも、どんな美しい調べでも、敵う事がない。それはいいことだとは思う。でも、反対にそれは悲しいことではないだろうかとも思う。今の私には、その答えは出せない。
是非やってみてほしいと私は思う。これをやってみて途中ダレなかったら、この作品の良さが分かると思う。一回目よりも二回目、二回目よりも三回目。どんどん引き込まれ、ラストプレイには名残惜しくもなるだろう。私はそう感じた。そして、最後のプレイの後、笑った。「こんなのだなんて……」笑って、そのままだった。
私からは内容は伝えられない。なんの予備知識もなくやったほうが、きっと感動をより深く味わえるだろう。