何も、いらないよ……。

「粘土の様な豪華な食事も、光るだけの煌びやかな服も、上辺ばかりの美しい人も要らない……。なにも、いらない。貧しいけど美味しい、あなたとの食事がしたい。可愛いと言ってくれるみすぼらしい服でいい。あなたさえいてくれれば、私はもう、何もいらない」


「……あれ? ……泣いて、いるのか。俺は、泣いてるのか? そうか、そうなのか。俺は、泣いているのか。……なにが、哀しかったんだろう?」


「助けてよ、僕は、怖いんだよ……。もう独りなんてイヤだ。話しかけてくれないなんてイヤだ。僕をもう、一人になんてしないでよぉ」


「きみのためにいるよ。僕は、いつだって傍にいる。寂しがらないで、僕はいつだって、きみの特等席に座ってるから」


「人に翼が生えても、自由なんて得られない。得るのは、空を飛べない苦悩だけだよ」


「感情だけで人は生きられなくて、論理だけで世界は片付けられなくて……。その塩梅を取ることが大切って言ったって、そんなこと、出来ないよ」


「神様、教えてください…。俺はいつまで、一人でいなくちゃいけないんですか?」


「助けてなんていわない。言うもんか。助けたかったら助ければいい。助けたくないんなら放っておけばいい。どちらを選んでも、あたしは憤ってやる。理不尽? ふん、上等よ。あたしはわがままなんだから。……でも、どちらにしても、あたしはあんたを追い掛け回すから。覚悟しといた方がいいわよ?」


「空よ、サラバだ」