百点主義者

「貴方は自分のことを、『百点主義者』と言うようですね?」
「ああ、そうだ。それがなにか?」
「いや、奇妙だな、と思って。だってそうでしょ? 『完璧主義者』ならまだ分かる。全てにおいての行動が、まさに完璧であれば良いという考え方は。でも、なんでわざわざ、百点なんです? 完璧と、どこが違うんですか?」
「……ふぅ。キミは試験を受けたことがあるかね?」
「色々と沢山と。」
「ならば分かるだろう? ――別に、全ての公式が合っている必要はない。過程においての計算結果も、またその確かめ式も、あってもなくてもいい。ただ解答さえ合っていれば○。そして全ての問題がそうである。それが百点だ。そして、それが私の目指すものだ」
「過程は必要ないと?」
「愚問だ。過程は存在するさ、ただ、手段は選ばないと言う話なだけだ」
「つまり、カンニングもばれなければ良いと? ズルなことをしても、結果さえ合えば良いと? 最後さえよければ良いというのですか?」
「ああ、そうさ。所詮、完璧主義はただの泡沫の理想さ。妄念の塊でしかない。しかし――紆余曲折を経て、時には道から離れ、または踏み外したとしても、それでも最後に自分人生は最高だったと言えるのなら――これ以上はないだろう?