書評
- 作者: 乙一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/05/20
- メディア: 文庫
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感想:長編ホラーという短編小説が多い乙一にしては珍しい本。乙一ズムと言うかそういう一人称による淡白さは相変わらず、それを噛ませながらであったので安心して読めた。乙一は短編の人だけではなかったのだな、と確信を持って頷いた。内容は粗筋どおりだが二つの視点の物語が混ざり合って一つになるのは端くれの者として脱帽の思いだった。
(ちょっとネタバレ)しかし、物語と物語の中の物語を一致させる為か眼球関連であったが、でも強引さは否めない。流れとしてはよかったがつぎはぎのように見えた(つめものの思い出のせいで記憶喪失と思ったのにその後に関係ない話であった、彼女が眼球を抜かれて記憶喪失になったのはただの偶然である、と言うのはどういうことか)そういう、叙述トリックさは乙一らしいが、荒も目立ったなあと思った。
ともあれ、乙一好きなら、期待に応えてくれるのではないでしょうか。