書評
- 作者: 梅原克文
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/12
- メディア: 文庫
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- 作者: 梅原克文
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/12
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面白い、これ
なんだか、SFとホラー、近未来ウォーズ、それに準ずる諸々のジャンルを一切合財に詰め込んだら完成した、と言わんばかりの本だった。原稿用紙換算約1600枚と言うムチャクチャに幅が大きいにも拘らず、それでもまだ足らんと言わんばかりのスケールの広さには感嘆の溜息しか出来ない(まあ、所々冗長に感じる部分もあったが)。
(少々ネタバレ反転)まあ、だが不満があると言えばある。超人化できるようになってから(更に言うなら下巻になってから)と言うもの、綱渡りのような、ハラハラドキドキする部分が希薄になったし、超人化の弱点、と言うものが一旦目立ったのにその後伏線にもならなかったのは消化不良気味。まあなんと言っても骨が砕けても再生できると言うのはどこか良くない安心感を持ってしまったり。出来ればそこらへんなどもなんとかなればと思った。
世に作家は数えられないほどいるけれど、しかしバイオレンスとホラー、両方の天秤を図りながら戦いを描ける人間は稀有である。そういう意味では久々に、当たりの作家を引いた手応えを感じた。作者の第二作目である「ソリトンの悪魔」と言うものも出ているらしいので、見かけたら財布の厚みがある限りは優先して買おうと思う。