人を好きになったことは何度でもあった。

 私は結構、節操無しである。誰かを好きになることにかけて言うならば比類する人間はそういない。男性女性老若問わない。ただ隣に座るだけで好意を持つほどの馬鹿だ。
 と言うよりも、嫌いという言葉が分からない、とも言える。人を嫌う。嫌悪する。他人に影響されない以外で人を嫌いになったことは記憶にはあまりない。
 人を嫌いになる。出来れば疎遠になりたい、願わくば視界にすら納めたくない、と感じる相手。それは、どういうことなのだろうと何回も考えたことがある。その答えは、未だに出ていない。