天国への百マイル
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2000/10/01
- メディア: 文庫
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感想:胸が救われるような話だった。この一言に尽きる。主人公の落ちぶれからそして再奮起までの過程はとても丁寧で繊細な作りにしているし、一つ一つがまるで折り織り裁たんで作られた一つのドレスを思わせる。きらびやかではない、そして美しくも見栄えのよさもあまりない。難解な描写や言い回しも感じない。それでも、なぜかそれ以上のなにかを見せてくれる話だった。
以下ネタバレ含みこの作中で、主人公以上に目立つ脇役(裏主人公)が三人いると思う。一人はマリ。この濃さは主人公を喰わんばかりの勢いだ。外面はデブ、そしてブス。しかしまるでアニマを見るような理想的な内面をした女性で、主人公をただ元気付けてくれる存在。個人的に言わせてもらえるならば、これはフェイトの士郎くんが辿り着くかもしれない一つの可能性だったのではないのかしらん、とか思いながら読んでた。ともかくも自己犠牲と愛することに先鋭化した彼女。でも、この「自分は愛するだけでいい。相手の幸せを望むだけでいい」と言う考え方はちょいと拒否反応が出るなー。こう言う理想女性女性しているのはなんとなく忌避したくなりまする。そして、二人目はサンマルコの外科医の人(曽我……だったっけ?)この人を見ていると、なんとなく某ネット作家を思い出してやまず、何度考えが脇見に逸れそうになったことか。ともかくも人によってはランサーぽいと思うかも。そしてもう一人は母を支えてくれた内科医の人。この作品、良くも悪くも脇役が輝いていて主人公が影に隠れているように見えました。アハハ。