カナリア

 さえずる鳥はなにを求めて大空を飛ぶのだろう?
 猛る馬はなにを望んで大地を駆けるのだろう?
 這い回るトカゲはなにが怖くて尻尾を切るのだろう?
 虚ろうこうもりはなにを聞いて往き啼くのだろう?
 

 なにもない僕はなにを望めば救われると言うのだろう?
 明日か? 来世に? 強さを? 愛へ?
 浮かぶ言葉は恐ろしく 終わらないことが恐ろしく
 浮かぶ言葉が悲しくて 不変でないことが悲しくて
 浮かぶ言葉は辛すぎて 消えてしまうことが辛すぎて
 浮かぶ言葉は苦しくて 悩み悶えるのが苦しくて
 いつだってただ 膝を抱えて座り込んでいる

 
 羽のない鳥はなにを目指して生きれるのだろう?
 足のない馬はなにを目指して生きれるのだろう?
 尾のない蜥蜴はなにを目指して生きれるのだろう?
 耳のない蝙蝠はなにを目指して生きれるのだろう?


 なにもない僕はなにを目指して生きてきたのだろう?
 孤独か? 寂しさに? 救いを? 人へ?
 浮かぶ言葉は恐ろしく 終わらないことが恐ろしく
 浮かぶ言葉が悲しくて 変われないことが悲しくて
 浮かぶ言葉は辛すぎて 動けないことが辛すぎて
 浮かぶ言葉は苦しくて 悩み悶えるのが苦しくて


 カナリアのように唄いたい 終わっていく今を唄いたい
 カナリアのように唄いたい 変わるこの生を唄いたい
 カナリアのように唄いたい 消えないこの強さを唄いたい
 カナリアのように唄いたい 最後まで掴む愛を唄いたい


 カナリアのように カナリアのように カナリアのように


 孤独を埋め 寂しさを忘れ 救いを生み 人と歩く
 カナリアのように 僕は唄いたい――