Chapter6//L.L=Last.Letter(最後の手紙)

 「本当は渡したくなかったんだけど」その言葉を一つ残し、彼女は一通の手紙を差し出した。それは、彼が書いた手紙だった。中身は、私に当てた恋文。君を見たときから恋に落ちたという、ありふれたような内容。しかし、これが彼が書いた最後の文章で、そしてここにしか残滓が残っていないと思うと、自然涙が溢れた。私が恋した相手は既にこの世にはいない。もうこの思いが伝わることはない。分かっていたはずだ、そのことは。病院で伝えられ、その時からこの彼を探す旅は、残光を追う探訪であったと言うことを。だけど、だけど、、、、いざ終わりを見ると、私はただ、嗚咽しか洩れなかった。