2006-08-14から1日間の記事一覧
どーにも不調だなあ。書こうと思っても、どう書けば忘れたみたいに指が動いてくれない。 原因と言うか、不調症状箇所は「メインテーマを考え込む余りに起承転結の場面構成を巧く考えられない」みたい。 ようするに、「このサビ部分を書きたいんだぁっ!」と…
一葉の紙にライターの炎を近づける。ゆらゆらと揺らめく陽炎はそれを火を移らせて容易く燃やしていく。それは、私が綴った、彼への想いだった。この叶わなかった二つの思いに対しての総てを、その一葉に込め、燃やしたのだ。ゆっくりと、紙面に移された黒の…
「本当は渡したくなかったんだけど」その言葉を一つ残し、彼女は一通の手紙を差し出した。それは、彼が書いた手紙だった。中身は、私に当てた恋文。君を見たときから恋に落ちたという、ありふれたような内容。しかし、これが彼が書いた最後の文章で、そして…
いつもなら、それは普通の日常だった。いつもの帰り道、熱さが引いてそろそろ秋も半ばに差し掛かったこの時期。私はいつものように本を片手に下校していたのだ。そしていつものように信号を渡り――。クラクションが鳴った。え、と私は顔を上げた。前にはトラ…
次の日、私は彼と親しき仲にあった女性と会う。と言っても親友どまりだけどね、と彼女はおどけた口調で言う。しかし、その動作の中に、相手を和ませようとする気概は見えなかった。その昼食、彼女は私をじろじろと見てきて彼についてを尋ね、私も聞く。ファ…
白い彼女の個室に導かれ、私はとても豪華とは言えない椅子に腰掛ける。彼女は少々苦笑して「悪いわね」と形の謝罪をして、彼の話をしだした。なぜここに来たのか? どういう性格だったのか? どんな気持ちを抱いて生活してきていたのか? これ、ね。と彼女は…
それは彼の出自に関するものだった。彼はある孤児院の出で、私はその迷える子羊の場所へと赴いた。出迎えたのは彼を育てた一人の女性だと言う。私はなにも言わず、表向きボランティアの名目で一日そこで働くことに。騒がしい幼児に引っ張られて倒れそうにな…
目覚めた私はただひたすら彼について知ろうと歩みだした。一週間も眠っていたらしい鈍った体と気だるい精神に鞭打ち、ただ足を棒にして歩く。気を失った場所、駅などただ散らばっている論理をかき集める。誰にも知ろうとせず、教えようとせず、ただひたむき…
突然突き飛ばされて、意識を失って起きだしてみたら病室。 最後に見えたのは必死な形相でこちらを駆ける見知らぬ男性。 なにもかも分からずに、私は彼に突き飛ばされたのだ。 でも、そのことに怒りは沸いてこなかった。 だって―― そのただがむしゃらな表情に…