Chapter5//L.L=Luck.Lack(運の欠乏)

 いつもなら、それは普通の日常だった。いつもの帰り道、熱さが引いてそろそろ秋も半ばに差し掛かったこの時期。私はいつものように本を片手に下校していたのだ。そしていつものように信号を渡り――。クラクションが鳴った。え、と私は顔を上げた。前にはトラック。どうしてと思った。いつものようにちゃんと信号を確認して――――――。その言葉への解答は一つ、「暴走」と言う不条理で片付けられる事態。そしてその暴力に私は巻き込まれて人生を終わる――――はずだったのに。そこで、彼が、、、、、、。他愛ない運の欠乏により、終わったのは、私ではなく、彼だったのだ。